だ液、『つば』のことわざといえば、「天につばをする」または「天につばを吐く」など、よい意味で使われてはいませんが、とても重要な働きをしているのです。
その働きのひとつは、口の中のそうじ(浄化)です。
たった、1ミリリットルのだ液でも、口の中の細菌を90億個も取りのぞくのだそうです。
だ液は舌、耳、あごの下などで作られ、一日の量は、成人で約1リットル~1.5リットルにもなり、その中には、たんぱく質の一種ラクトフェリンが多く含まれています。
ラクトフェリンは、体に不要なミネラルと結びついて、体内への吸収をおさえる働きや、細菌などの増殖をふせぐ殺菌作用もあり、腸内のビフィズス菌を優位にするので、免疫力を上げることや、整腸作用もあるといわれています。
だ液に老化防止作用があることはご存知でしょうか。
だ液にふくまれる、神経増殖ホルモンや表皮増殖ホルモンが、脳神経系の活性化や全身の細胞に働きかけ、若々しさをたもってくれるのだそうです。
また、パロチンという若返りホルモンによって、歯や骨、毛髪が丈夫になり、生殖器などの機能も維持されています。
だ液には次の2種類があります。
ひとつは「安静時だ液」といわれるもので、特別な刺激がなくても、つねに出ているもので、赤ちゃんの「よだれ」と同じく、口の中をサラサラと流れています。
だ液は、からだの成長により分泌量は増えますが、29歳頃でピークになり、その後は少しずつ減っていきます。
緊張したときに「のどが渇く」という経験をされたことがあると思いますが、精神的緊張や不安があるときにも分泌される量が減ってしまいます。
2つめは「反射だ液」で、梅干やレモンなどの酸味、またはあめ玉などの甘みを感じることで、反射的に出るだ液です。
食べ物をかむ時のあごの運動よって出るだ液もこれになります。
思ったよりも、からだのために働いているだ液ですが、自分の意思で出る量をコントロールできません。しかし、次のような方法で改善することもあります。
【ガムや、あめをなめる】
ガムをかむ習慣で、安静時だ液が出やすくなり、口臭予防にもなります。
口の中に異物が入ったときに、それが安全だと認識できると「かむ」という反射が起きます。しかし、危険だと思えばかまずにさらにだ液を出してこんどは「吐き出す」という反射が起きます。
このように、かむ時よりもかまない時の方がだ液が分泌されやすくなるので、あめの方がよいと思われますが、虫歯になりやすい糖分には注意が必要です。
また、だ液が出ることで、体の水分が不足しやすくなるので、こまめに水などで水分を補給しましょう。
【口に水を含んだり、舌を動かす】
口に水を含み、3分間ほどしてはき出すことを2~3回繰り返すと、口の中が潤い、だ液の分泌が促進されます。
口の中で「ら・ら・ら…」「がらがらがら…」という発音をするときの舌の動きをすることでも、だ液が出やすい状態になります。
高齢になるとだ液が出にくくなりますから、日ごろから舌を動かすことなどを心がけるとよいかもしれませんよ。