鎌田實さん。長野県の諏訪中央病院名誉院長です。
数年前にベストセラー「がんばらない」がテレビドラマ化されたので、ご存知の方も多いと思います。新刊エッセイも地域や患者さんとの悲喜交々のエピソードが綴られています。「それでもやっぱりがんばらない」の中にこんな一節があります。
「『何がしたいの』って聞かれて、うれしいと泣く女性がいた。
関東のある町から諏訪中央病院の緩和ケア病棟にやって来た初日、問診で聞かれた言葉。以前の病院で、彼女は『何がしたかったの』と過去形で聞かれ、治らないがんがあったとしても、私は、今生きているんですって怒った。そうだ、生きている限り、したいことがあるはずなんだ。
人間は夢を追う動物だ。そうだ、夢は大事なんだと思う。
夢がないときもあるかもしれない。夢なんて持てないときもあるだろう。でも、本当は、違うような気がする。気がつかないだけ。夢がないわけではないんだ。人はぎりぎりの生命を生きるときに、急に、自分の夢に気がつく。けっこうくだらない夢もある。いいんだなあ。大きな夢も、小さな夢も、くだらない夢も、ささいな夢もその人らしければいいんだ。夢があるから、どんな苦難のときも人は生きられるのだろう。きっと。」
また「メイク・ア・ウイッシュ」というボランティアの話が語られています。
日本語で「願いごとをする」という意味だそうです。
活動内容は難病や障害のある子供の夢を支援することです。3歳から18歳未満の難病と闘っている子どもたちの夢をかなえ、生きる力や病気と闘う勇気を持ってもらいたいと願って設立された団体です。
重病の子供さんが対象なので、まぎわで願いが叶わずに亡くなったお子さんもいるそうですが、現在までに約800人近くの子供たちの夢が叶えられたそうです。大人にとってはなんでもないようなことでも、純粋に夢のためにがんばる子供をみていると元気をもらえます。
鎌田さんは「メイク・ア・ウイッシュ」を支援している方との対談でこんな話をされています。
夢や希望を持って生きていると免疫力が上がる。夢を追いかける人には、時たま、不思議なことが起きるんだって僕は話した。生きられるはずのない命が病気を克服することがある。苦難の中を生きる人に生きる力を与えるものは、夢を持つことなんだ。
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