厚生労働省が医療施設に対して行っている調査によると、平成11年は約44万人だったうつ病患者は、増加を続け平成20年には、104万人と9年間で2.4倍に増加したそうです。
これは、病院で診察を受けてない人は含まれないので、潜在的な数を含めると、さらに驚くような数字が予想されます。
うつ病の典型的な症状は「不眠」「食欲不振」「気分の落ち込み」「無気力」などといわれますが、このような症状がみられない、新たな非定型うつ病が増えているとのこと。
非定型うつ病の特徴は次のようなものです。
・20~30代前半の若い世代に多い
・過眠、過食の傾向がみられる
・手足がまるで鉛のように重く感じ、激しい疲労感をともなう
・自身がうつ病であることやうつ病で休職することに抵抗が少ない
・自己否定感や自責感にとぼしく、周囲の人に責任転嫁し他人を責める
・優しくされたり、ほめられたり、励まされると気分がよくなる
・他人の言動に敏感になり、激しく反応する
・昔のいやな出来事やつらかったことを思い出し、そのときの感情にとらわれる
・ささいなことがきっかけで怒りの感情が爆発し、怒ったあとに自己嫌悪になる
・職場や勤務時間中にうつ症状があらわれるが、勤務時間以外や趣味、または自分の好きなことや関心があることに対しては比較的活動的になる
従来のうつ病と非定型うつ病との比較表
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従来型のうつ病(定型) |
新タイプのうつ病(非定型) |
病前性格 |
・義務感や責任感が強い
・社会的秩序やルールを重視
・完璧主義者 |
・依存心や自己愛が強い
・自分なりの価値観を重視
・優等生タイプ |
好発年齢 |
35~55歳に発症が多い |
20~30代前半に発症が多い |
精神状態 |
・常に落ち込んでいる
・好きなことも楽しめない
・自分が悪いと自責の念が強い
・自殺願望がある |
・よいことがあると明るくなる
・好きなことは楽しめる
・他人が悪いと他罰的になる
・衝動的に自殺をくわだてる |
食欲 |
・食欲不振で体重減少 |
・過食傾向で体重増加
・甘い物が食べたくなる |
睡眠 |
・不眠傾向(睡眠不足)
・朝早く目が覚めてしまう
・睡眠途中で目が覚めると
眠れなくなる |
・過眠傾向(いくら寝ても眠い)
・昼夜が逆転して生活のリズムが乱れやすくなる |
対応 |
はげましたりすると、かえって自責的になり症状を悪化させるため、話に耳を傾け、共感を心がける |
過保護にすることがないように普段通りの態度を心がける。ただし、叱責や非難はしないこと |
このように、従来型のうつ病とは症状が異なるので、20代のお子さんがいらっしゃるご家族や、対象年代と接する機会が多い方は、注意深く観察することが、早期発見につながるかもしれません。
うつ病は、体調不良や疾病の原因、または自殺などの重大な事態もひきおこしかねません。うたがわしい場合は、勇気を出して専門の医療機関に相談しましょう。
※予防医学学術刊行物ほすぴ参考
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